バルカー乗船記その25(2018年7月8日-15日:乗船53日目)ん?中国揚げ地に着いたけど5日間の沖待ちか。。
7月8日
本船は東シナ海から黄海に入った。中国特有のどんよりした天気だ。
いつも通り甲板上を歩いていると、ん?デッキ上に小魚だ。昨日青波が船首部分に上がっていたので、その時に打ち上げられたのだろう。
中国近海はとにかく漁船の数が半端ない。
漁船の方が避けてくれるとありがたいが、操業中だと避けない事もある。その時は本船が事前に大きく回避する事で衝突を避ける。
その後、超大型コンテナ船とすれ違う。あのような船に乗れることは船乗り冥利につきる。いつか乗りたいな。しかしiPhoneの写真では拡大しても船名は分からない。残念!
タイムラプス、始めました。天気がどんよりしているので、見応えありません。(汗)
Time-Lapse : Sailing at Yellow Sea
7月9日
本船は渤海に入った。渤海入口が狭い上に船舶が輻輳するので、機関部も入直(ワッチ体制)とした。今夜には京唐港(JingTang)の錨地に到着予定だ。
そういえば、ミニファミコン(週刊少年ジャンプバージョン)が発売されたな。自宅にラインで連絡するとちゃんと届いていた。また収集グセが出てしまった。。
ちなみに自分の携帯電話の待ち受け画面は本船の写真だ。かっこいいっしょ?
7月10日(沖待ち1日目)
本船は昨晩錨地に錨を入れた。今日は不思議と天気が良い。
中国ならでは光景だが、揚げ荷待ちのバルカーが結構錨泊しているようだ。
錨のチェーンの張り具合を確認した。錨は海底をしっかり掻いているようだ。
今日の昼ごはんはカレーにあさりのスープだ。カレーは誰が調理してもまず味には問題ない万能料理だ。
甲板部はハッチカバーのサビ打ちを開始したようだ。
入港前に整備したフェアリーダーが光る。
午後になって天気がめちゃくちゃ良くなった。まるで中国ではないようだ。
甲板部がサビ打ちを行なっているハッチカバーはヘリポートになっている。通常、水先案内人はボートで本船に乗り込んでくるが、オーストラリアではヘリで入港中の本船に乗ってくる。そのため、一番最初に手をつけたようだ。
本日午前中のタイムラプス
Time-Lapse : Jingling anchorage
船尾側のフェアリーダーの整備も着々と進んでいるようだ。
プールにも水張り中。海水温度は24度あるので、プールは快適に入れそうだ。
ちなみに船がある国の領海内に滞在する時は、船のメインマストには入港した国の国旗を掲揚している。国際法で定められていると思うがちょっと定かではない。
本日午後のタイムラプス
Time-Lapse : At JingTang anchorage on 0710 afternoon
いやー、ほんといい天気だ。
今日の晩ごはん。オムライスに揚げ魚の餡掛けだ。味噌汁にはかぼちゃが入る。日持ちしない野菜が切れかけている証拠だ。
本日の夜のタイムラプス
Time-Lapse : At JingTang anchorage on 0710 at night
7月11日(沖待ち2日目)
本日も錨地で待機だ。天候は昨日ほどではないが良好だ。海も穏やかでありがたい。本日もたくさんのバルカーが錨地で揚げ荷の順番を待っている。
機関部では機関室の廃油タンクの掃除を実施している。機関室で発生する全ての油はこのタンクに集められ、水分を飛ばす。そうして廃油分だけになったものを機関室内の別のタンクに集め、陸揚げ準備をしておく。
タンク内部はドロドロでネチネチの残渣物がタンクの底部に沈殿している。これを人力でかき集める。かなり過酷な労働だ。ガチ3Kの職場である。
この残渣物はドラム缶で2缶(400キロ)発生するので、これは船内の焼却炉で焼却している。
途中から渤海名物の霧に囲まれた。雨は降らないがずっと曇りの嫌な天気だ。
本日午前中のタイムラプス
Time-Lapse : JingTang anchorage on 0711
午後はレスキューボートの試運転および船体外板チェックが行われた。
外板コンディションもチェックしていく。海側から船を見ることがないので、こういうビューは新鮮だ。
船体中央のドラフトマークだ。18メートルも足が入っている。
本日午後のタイムラプス
At JingTang abchorage on 0711 PM
7月12日(沖待ち3日目)
今日も中国らしい天気だ。代理店からの入港の連絡も無く毎日が同じ繰り返しのような気がしてきた。
海鳥たちが本船上空を飛んでいる。そういえば中国側ではあまり海鳥を見ない。船内では中国の漁船が中国沿岸の魚を取り付くしたためと言うが、確かに漁船もあまり近海では操業していない。
本日のタイムラプス
Time-Lapse : JingTang anchorage on 0712
ヘリポートになっているハッチカバーの整備が終了。新造船の時は本船全体があんな状態だったのに。。まだまだ手がかかるな。
流石に3日目となってくると、主な整備作業は終了したので手持ち無沙汰になってきた。ネタもないので、久々に綺麗な夕方の景色を鑑賞しよう。
7月13日(沖待ち4日目)
今日は朝からずっと霧だった。ご飯も同じ。。。早く港に着けてくれー!
7月14日(沖待ち5日目)
船内娯楽といえば、映画を見たり本を読んだり、またはカラオケをしたり。テレビはローカルチャンネルしか映らないので中国語の放送のみ。
船内インターネットは激遅プンプン丸で、通信バンドが狭いので乗組員の休息時間帯にはメッセージ一つ送るのに数分かかるくらい遅い。
陸岸からの距離も結構あるので、陸の電波は届かずまさに海の孤島状態だ。。
船内にSlopchestと呼ばれる、いわゆるストアがあり、そこで趣向品やちょっとした生活用品を買うことができる。船内ではヘビーリカー禁止、ビールやワインなののみ嗜むことができ、これらはこのSlopchestで購入する。これだけ沖待ちが長いとビールやワインの在庫が心細くなってくる。と言うか、もう売り切れである。。。
今日も曇りなのにべた凪で不思議な風景だ。
海の色も見方によって色々と色が変わるが、基本綺麗ではない。。
船の食事も生鮮野菜がほぼ切れたので、食事中の野菜率がかなり低い。一昔前はビタミン不足で脚気になっていたと言うが、戦場における生鮮野菜の保存方法に劇的な進歩はないようだ。食事にも悲壮感が漂う・・・
今日のタイムラプス
居室の窓にiPadを貼り付けて船の動きをタイムラプスで記録を開始した。今回のように、状況によってはいかに単調な船上生活となるか、感じでもらえると思います。
本船の周りにいる錨泊している船が、潮の影響で動いているように見えます。
Time-Lapse : At JingTang anchorage on 0714
時計の針を夕方まで進める。
やはりずっと海の上で止まりっぱなしより、港に着くか、海上を航行している方がメリハリがある。このままだと乗組員のモチベーションがやばい。。
7月15日(沖待ち6日目)
今日も霧っぽい天気だ。どうも明日入港できるかもしれないと言う代理店からの連絡があったが、霧が濃いと港が閉鎖されてしまうので、天候次第だ。
どうも機関室の主機関を温める蒸気ラインの調子が悪い。主機関停止中はいつでも運転できるように常時温めており、その熱源に蒸気を使っている。
本来は自動で主機関の冷却清水温度を80℃近辺に維持しているが、どうも温度が上下に振れている。
またもや一杯やりたくなる料理が昼から出たか。よく見る魚だが、名前が分からない。
午後に正式に連絡が入り、明日着岸が決まった。
乗組員も大喜びだ。ある乗組員は以前この近辺の港に入った時に万里の長城入ったらしい。もしかしてもしかして、万里の長城に行けるか?その前に上陸できるか?
本日のタイムラプス
午後デッキ上を歩くと、船首にトンボ?がいた。日本だと秋の到来を知らせるものだが、まだ7月なのに中国ではトンボ?
午後天気も良くなり、入港準備も終了。
本日は半ドンで明日に備えた。ようやく入港だ!