バルカー乗船記その12(2018年6月13日:乗船22日目)日照市、上陸できません!
2018年6月10日、ようやく本船は揚げ荷のために着岸のした。ここら一帯はバルカー専用岸壁のようだ。
港のセキュリティー問題のため、上陸は不可能とのこと。目の前に街が見えるのに残念だ。沖売り業者が本船で土産物を販売するので、必要なものはそこで買おう。
着岸後、しばらくして荷役が始まった。鉄鉱石を全て揚げるのに3日くらいはかかるだろう。
さて、機関部作業では清水冷却器の掃除を開始した。約180枚のプレートを掃除していく。清水で汚れを洗い流す。清水冷却器のがないと主機関が使えないので早急に復旧しなければならない。徹夜で作業だ。
停泊2日目は燃料油の補給だ。入港1週間前までに燃料補給量を会社に連絡している。1航海の予想燃料消費量を計算し、それにマージンを加えた量となるが、燃料計算をミスると船が港まで走れなくなるので、慎重に何回も計算している。
補給する燃料も半端ない量で、今回は1,700トンを補給する。1日がかりの仕事だ。燃料油を漏らすと大問題なので、燃料油補給は気を遣う。
荷役も3日目に突入。機関部の重要整備作業は終わった。上陸できる時間はあるのに残念だ。
今日のお昼はうどんか。このめんにコシがなくあまり美味しくない。食料は中国でしか取れないから日本製品が手に入りづらい。調理方法でごまかすしかない。(涙)
しかしこのかまぼこはスカスカだ。
この港はグラブで鉄鉱石を掴んで搬出する荷役スタイルなので、やはり時間がかかってしまう。
今日の晩ごはん。なんだ?この組み合わせは??おでんだけで充分な様な気がする。なぜか元気が出ない。。
船のごはんがこうだとやっぱり間食するよね。しかしなぜかプリングルスだけ、中身がバキバキになっている。他乗組員に聞いたがやはりそうだとの事。不思議。
荷役は夜通し続く。明日夕方には終わりそうなので、出港は明後日の朝になるだろう。
ようやく荷役も最終日。だが、朝からいきなり濃霧で荷役が一時中断した。
10時過ぎには霧も晴れ、荷役が再開された。対岸にはコンテナターミナルもあるようでかなり大きな港だ。中国政府の精力的な港湾開発で、最近の中国の港は大きくて、綺麗になっている。
本船の前にギリシャのバルカーが着岸した。本船の喫水は揚げ荷でだいぶん足が上がっているが、入港時はこの船の様だったはずだ。
外をぼんやりと眺めていると、1隻の出港船があった。煙突が黒いがどこの会社の船だろう?インターネットで調べてみた。
船名:DADONG EXPRESS
船籍:パナマ 総トン数(G/T):43,661T 全長:197.91m 幅 :32.2m 船種 :ウッドチップ船 竣工:1989年
紙の原料となる木材チップを輸送する船だ。船齢が30才とかなり高齢な部類になる。いつかどこかでア出会いたいものだ。
荷役も着々と進んでいる。明日朝の出港はまず間違いないだろう。
元々はフィリピン人乗組員で運航していた船らしく、日本の食器がない。ごせめてはんの器は日本のものが欲しい。(涙)
さあ、明日は出港だ。上陸もできなかったし、とっとと出よう。