洋上ですれ違う外国航路の船たち その2(2011年8月 シンガポール)
仕事の関係上6年間シンガポールに駐在していたが、その時は現場に出ることが多く、色々な船を見ることが出来た。シンガポール錨地に船がいる場合、通船で船に行くことになるが錨地にいる船の間を縫って走るので大型船を近くで見ることができる。対岸にはMAERSKのコンテナ船や自動車船が荷役を行なっている。異なる船が顔を合わせて停泊しているこの姿や組み合わせはもう2度と見ることは出来ないと思うと、非常に貴重だと個人的には思う。
シンガポールは自動車のトランジット港(東南アジアとヨーロッパの中継港)なので、自動車運搬船の寄港が多い。ネットからこの船の要目を調べてみた。ちなみに自動車船はPCC(Pure Car Carrier)とも呼ばれる。
船名:JINGU
船籍:パナマ 総トン数(G/T):42,164T 全長:195.54m 幅 :28.8m 積載能力 :4,500RT 竣工:1992年
総トン数とは簡単にいうと船の重さを表し、積載能力(RT)とは世界のコロナをベースとした台数で、JINGUの場合4,500台運搬できる。まさに海の巨大駐車場だ。
竣工が1992年、現在も稼働中のようなので船齢は27年とかなり高齢となる。船型も今の主流の船型とは異なり、古めかしいが懐かしさを覚える。
荷役中のMSCのコンテナ船。船上構造物が2箇所あるので、船の大きさは10,000TEU以上だと思われる。iPhoneで撮った写真なので、解像度が悪く、船名が確認できない。
沖の方に出ると、錨泊している船がうじゃうじゃといる。
シンガポールはその地形の理から海運関係企業が多く、また船もシンガポールで燃料や船で使う道具(船用品)や部品などを補給する。また、荷物が取れるまでここで待機したりする。
また船がうじゃうじゃいるので燃料を船に供給する船(バンカーバージ)も大きいのから小さいのまで多数存在する。
なので、シンガポールの錨泊船の数は景気のバロメータとなっている。
燃料を補給中(バンカー中ともいう)の日本郵船運航のCHALLENGE PROSPECTだ。このようにバンカーバージが本船に横付けし、バンカーバージからの燃料パイプを本船側の取り入れ口に接続し燃料を補給する。
船では主にA重油およびC重油と呼ばれる燃料を使用している。中東などから輸入した原油を蒸発させると最後に残るドロドロの残りカスが出るが、このドロドロの残りカスを原料としている。
そのドロドロした油をC重油として使用しているが、常温では固まってしまうので、船では130℃くらいに加熱するとサラサラとなるのでそれを使っている。
A重油はもう少しいい燃料で軽油に近い感じ、常温でもサラサラしている。それらをバンカーバージがタンクに張り込み、本船に補給している。
価格はA重油の方が高いが、リーマンショック以降A重油およびC重油ともに高騰が続いており、「油の一滴は血の一滴」は言い過ぎだが減速運転など燃料消費節減に懸命に取り組む現在である。
さあて、そろそろお家に帰ってビールを飲もう。