バルカー乗船記 その20(2018年6月29日:乗船38日目)積荷満載再び中国に向け出港、ロンボク海峡を通過
ポートヘッドランドの罪にも無事終了し、6月27日早朝にまた中国に向け出港した本日も快晴だ。空がものすごく綺麗な青色だった。
主機関も元気に動いてくれている。
荷役中に溢れた鉄鉱石のカスで、甲板上が赤茶色になっている。今日は出航後の後片付け作業をやっているはずなので、甲板洗いは明日からだろう。
今日はポートヘッドランドで買ったハムを出し、チーフコックに切ってもらった。乗組員みんなでシェアーし、ビールで無事出港したことを祝った。
6月28日
今日は少し雲があるがいい天気だ。
今日は甲板洗いだ。機関室にあるポンプを回し、海水を組み上げて洗う。甲板上の消火栓にホースをつなぎ、人力で洗って行く。
赤茶色をした海水が甲板上を流れ、排水溝から海に排出される。各船同じことをしているので、何十億年後にはこの海域に鉄鉱石の層が海底にできるかもしれない。
機関室では発電機の燃料ポンプの整備を行なっている。
船で使う電気は機関室にある発電機をエンジンで動かして作っている。本船には3台の発電機が搭載されており、船内消費電力に応じて運転する台数を変更する。
例えばバラスト水の交換作業ではバラストポンプと呼ばれる大きなポンプを動かすので、発電機1台では消費電力は賄えないので追加で発電機を回してやる必要がある。
この電力調整は手動でやっており、電力需要に対する供給元の容量を間違えると、発電機は過負荷でシャットダウンし、船内電源喪失、いわゆるブラックアウトが起きる。
今日の昼ごはんは焼きそばか。塩辛い。。焼きそばに串焼きのコンビネーションも日本ではあまりないな。
夕方にはあらかた甲板上の水洗いが終了した。甲板員は水浸しになっている。真冬だと寒くて大変だっただろう。
至近距離をオーストラリアに向かうバルカーが走って行く。明日はロンボク海峡なので船が集まって来ているのだろう。
6月29日
今日はロンボク海峡通峡の日だ。
挟水道を通過するときは、船舶の輻輳状況に応じてはスピードの調整が必要になってくる。船の主機関は巨大なエンジンなので、車のエンジンのように簡単にアクセルを踏んだり緩めたりできない。その都度色々な作業が必要だ。
そのため、船の速力を急に変える可能性がある場合、すなわち主機関の回転数を変更する可能性がある場合はスタンバイエンジン(S/Bエンジン)といって、機関部乗組員がが機関制御室で主機関の回転数調整の対応がいつでもできるように待機している。
この日も通峡前からS/Bエンジン状態とし、機関部は機関制御室に待機していた。
ロンボク海峡ではS/Bエンジンにしたものの、結局主機関の回転数を調整することなく通峡できた。
今日の昼ごはんはうどんに餃子か。真空パックの生うどんを注文してもらうようにチーフコックに言っておこう。中国にもあるでしょ、多分。。
中国のバルカーのようだ。ここ最近は中国語の船名の船とかなり遭遇する。やはり中国の巨大なマーケットを満たすためには大量の物品が必要なのだろう。
ロンボク海峡を抜け、本船はセルベス海に向けて舵を切った。