バルカー乗船記その14(2018年6月18日:乗船27日目)フィリピン東海域に到達、バラスト水交換作業開始
出港して2日目、天候は幾分良くなったが、風が強い。
今日の朝ごはん。ベーコンがベーコンでない感じがする。納豆も日本のものと食感が異なる。まあ食べれないことはないか。でも米を何とかして欲しい。日本人は米が命。
船首のバルバスバウが力強く海をかき分けて走る。
海の色がだいぶん鮮やかになってきた。そろそろ黄海を抜け、東シナ海に入る頃だろう。靄もなくなった。与那国島の脇を航行したが、携帯の電波は2時間くらいしか繋がらない。
そろそろ昼ごはんか。炊き込みご飯は見た目ほどまずくない。魚はちょっと。。。
こんな時用にプリッツ買ってみました。日本には売ってない味です。
出港3日目、朝から雨だ。いつになったら快晴の空を拝めるのだろうか。
毎度おなじみ朝ごはん。定番メニューを出してくれればそれなりに食べれる。
機関室には色々な省エネの工夫がされている。主機関からでる排気ガスはその温度が400℃近くあり、それをそのまま大気に捨てるのは勿体ない。
そこで煙突の中に水が通っているパイプがあり、そこを高温の排気ガスが通る事で水が蒸気になるという仕組みだ。この装置を排気ガスエコのマイザーと呼び、この装置で発生した蒸気を使って主機関や発電機で使用するドロドロの燃料油を加熱してサラサラにしたり、厨房の料理用の蒸気や居住区の温水の熱源とかに利用している。
排気ガス内にはススが含まれるので、排気ガスエコノマイザー内の水が通るパイプがススで汚れ、蒸発量が落ちてくる。そのため、1日1回パイプに付着したススを蒸気でふかしてやらないといけない。こんな黒い煙を毎日大気に放出している。
結構黒いススがでてくるが、大洋航海中は大気に排出しても問題ない事になっている。
今日の昼ごはんはラーメンだ。ラーメンの出汁はボトルに入っている既製品を使っているようだが、なぜスープがこんなに黒くなるのだろう?なんとか食べれる味だ。
肉まんはもちろん日本のものではないので、餡が不思議な味がする。中国の肉まんはこのような味なのであろうか?
出港して3日目、本日からバラスト水入れ替え作業が始まる。
船が空船の時は空っぽの大きな容器を水の上に浮かべた状態と同じなので良く揺れる。そのため船のバランスをよくするためにバラストタンクと呼ばれるタンクに海水を張り込みどっしりさせてやる必要がる。したがって中国で荷役中に中国港内の海水をバラストタンクにたっぷり張り込んで現在航行している状態だ。
ところが大陸沿岸の海水には色々な海洋生物や病原体(?)などが含まれ、この海水を違う国の海域で排出するとその国の生態系が崩れるなどの理由から、沿岸から200マイル(約370km)離れた海域で海水を張り替えないといけないという国際条約が批准されてしまった。このオペレーションが効果あるのかよくわからない。
タンクを空にして入れ替えるよりも、甲板上のマンホールをあけ、ポンプで海水をタンクに張り込みオーバーフローさせて入れ替える方が時間的に早い。そのため、この2日間は甲板上は海水だらけとなる。
中国を出港して4日目、フィリピンの東岸海域まで来た。今のところ台風の発生もなくまあまあの海象条件でここまで来ることができた。
バラスト水の入れ替えは連続して行われている。バラスト水を送るポンプは巨大で、このポンプを動かすために発電機を運転しなければならない。国際条約のおかげで余計な燃料を使わなければならない。
主機関は順調に動いている。信頼性の高い主機関でこちらとしてはありがたい。主機関の整備は運転時間をベースに実施されるので、主機関の運転時間は1時間単位で記録している。1ヶ月の運転時間は約500時間、片道約10日間連続運転している。
今日の昼ごはんはついにチーフコックに自分から教育的指導を入れてしまった。
まずそうめん、いつも早く茹でてそのまま置いているので団子状になっていた。今日から氷水の中に入れて出すようにお願いした。あと、おにぎりを知らなかったので作り方を教えた。これでレパートリーが少し増えるかな?
午後から急激に発達したものすごい雨雲に襲われた。急いで居住区に戻ろう。直後にスコールに見舞われた。
明日は船内レクリエーションの日だ。若手が忙しく準備をしている。
おっ!今日はカツオの刺身か。あまり鮮度はよくないが贅沢は言っていられない。ビールでも飲みながらいただいた。
夜中に機関室の警報が鳴りませんように。